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【連載 #2】SNS時代のファンマーケティング - ファンの“好き”を最大化するアンバサダーマーケティング

SNS時代に合ったマーケティング手法である「ファンマーケティング」について、三部の連載形式で解説していきます。

第二弾となる今回は、「アンバサダーマーケティング」について。マーケティングの目的は情報を届けることではなく、情報が届いた人の行動変容を引き起こすことです。それを後押しするのがファンの生む“好き”の熱量。“好き”の気持ちをマーケティングに効果的に生かし、最大化する手法である「アンバサダーマーケティング」を解説します。

アンバサダーマーケティングとは

「アンバサダー」とは自社商品・サービスのファンであり、その魅力を積極的に情報発信してくれる人のこと。アンバサダーマーケティングは、このアンバサダーに商品やサービスをSNS等にて発信してもらうマーケティング手法を指します。

アンバサダーは自然発生的に生まれるのではなく、企業側が選出して任命するのが一般的です。選出のポイントは世間への影響度の大小ではなく、自社の商品・サービスをどれだけ好きかという「熱量」が重要視されます。

アンバサダーは企業のPRはもちろん、新商品に対する意見のフィードバックや新商品の開発に関わる場合もあります。

アンバサダーとインフルエンサーの違い

「インフルエンサーマーケティング」は「インフルエンサー」という生活者に近い立場からの発信であり、また企業側が発信者を指定するということから、広義にはアンバサダーマーケティングと類似したマーケティング手法として捉えられています。一方で大きく異なるのが、発信者が自社商品・サービスのファンであるかどうかという点です。

インフルエンサーとはSNS等で絶大な影響力を持つ人のこと。企業側からの指名で情報発信を行いますが、そこには金銭報酬が発生しているため、企業とは「契約」の形で結ばれることになります。インフルエンサーの発信は広い層にリーチすることが可能ですが、単発のプロモーションとなるため、その影響は一過性のものとなることも少なくありません。

アンバサダーは自社商品・サービスの熱心なファンであるだけに、リアルな情報発信が可能です。ただし、「フォロワー数◯人以上」などの規定を設けているわけではないため、情報発信による影響はインフルエンサーと比べて限定的になる場合があります。また、原則として金銭報酬を渡さず、あくまで好意でつながることを前提としている点も特徴です。

「契約」でなく「信頼」でつながるアンバサダーだからこそのメリット

アンバサダーの特徴は、企業の宣伝大使であると同時に、ファンを代表する“コアファン”でもあるというその立ち位置にあります。コアファンだからこその熱量の高い投稿は、企業にとって良質な意見のストックになるだけでなく、ユーザーにとっても訴求力の高いコンテンツとなります。

大切なのは、アンバサダーと企業の関係が、あくまで「信頼」で結ばれていること。企業との金銭的利害関係が生じていない第三者視点での発信は、広告に忌避感のあるユーザーにも受け入れてもらいやすく、新規ファン層の拡大につながる重要なコンテンツです。

企業側で投稿をコントロールできないことに注意

アンバサダーマーケティングにおける大きな懸念点は、企業側で投稿内容をコントロールできないという部分でしょう。アンバサダーの発信は自身の価値観に基づくものとなるため、企業イメージからかけ離れた投稿となったり、最悪の場合は炎上する可能性も否めません。また、アンバサダーの熱量が急に冷めてしまう可能性も十分考えられます。

これらを回避するために、なるべくアンバサダーの選出段階で投稿の内容や頻度を吟味し、慎重を期すことが重要です。さらに、アンバサダーを複数名起用しリスク分散することを前提としましょう。

アンバサダーマーケティングのコミュニケーション設計

ここからは、具体的なアンバサダーマーケティングの手法を紹介していきます。

ただし、前述の通りアンバサダーと企業は契約によって結ばれているわけではなく、また決まった活動内容があるわけでもありません。企業とアンバサダーがどう良好な関係を築くのかという「コミュニケーション」の部分に焦点を当てて進めていくことが重要です。

アンバサダーを発掘する

まずは企業やブランドに愛着を持つアンバサダーを発掘するところから始まります。日頃のSNSでの発信を企業がリサーチし“声かけ式”で登用するのが一般的ですが、公募する場合もあります。

アンバサダーは既存の顧客から発掘するため、企業やブランドのターゲット層に合致した人物となる場合が多いです。しかし新たなファン層の拡大を見据え、あえて今後狙っていきたいターゲット層の顧客をアンバサダーに登用することもあります。

この具体的な事例として、作業服等を専門に取り扱う「ワークマン」の“ワークマン女子”の戦略が挙げられます。「作業着を売っている店舗」というパブリックイメージを逆手に取り、あえて「女性」「おしゃれ」という真逆なイメージのアンバサダーを起用することで、新規ファンの開拓や売上の拡大につなげました。ワークマンはその他にもUGCの効果的な活用など、先進的なファンマーケティングの取り組み事例が多い企業です。

アンバサダーの熱量を高める

キャンペーンやイベントで企業側が促進した投稿に比べて、ファンの自発的な投稿の方がユーザーからの好反応を得られる傾向があります。いくらファンによる投稿でも、そこに企業側の作為を感じるとユーザーは“作られた投稿”の匂いを感じ取ってしまうからです。そのため、企業側がアンバサダーに発信内容を指定することは基本的にはありません。

しかし企業側から何の働きかけもせずアンバサダーに自発的・継続的に投稿してもらうというのはなかなか難しいものです。そのため、アンバサダーの熱量を高める工夫が必要となります。「特別感を高める」「より熱狂してもらえる機会を提供する」という2つの視点から例を挙げていきます。

まずは「特別感を高める」工夫についてですが、そもそも企業側から任命されているという点で、アンバサダーには「選ばれた特別感」が生じています。この「特別感」は、アンバサダーの熱量を高めるために重要なポイントです。ただ投稿を促すだけでなく、アンバサダー投稿を企業公式で取り上げるなどの工夫により、モチベーションを向上させていくことが必要です。

特別感の醸成という点では、プレゼントやイベントへの招待などの施策も考えられます。自発的な投稿という前提を考えるとアンバサダーへのインセンティブの提供は推奨されない、という意見もありますが、実際にはアンバサダー特典として新商品の提供やイベントへの招待をしている企業も少なくありません。「アンバサダーが商品を応援したいと思えるような機会を提供する」という本質を踏まえつつ、自社に合った形のインセンティブも検討していくのも良いかもしれません。

そして「より熱狂してもらえる機会を提供する」ための有効な手段が、ファンミーティングやインスタライブなど、ファン同士の交流機会を設けるというもの。熱量の高いファン同士が交流することにより、相乗効果的にアンバサダーの熱量がさらに高まっていくことが期待されます。

近年ではオンラインミーティングも気軽にできるようになったため、頻度高く開催できるのもポイントです。加えてリアルでの交流機会もあると、より多様なファンとのコミュニケーションが生まれるでしょう。

アンバサダーの声を聞き共創する

第一弾の記事でも書いた通り、ファンマーケティングのメリットのひとつに、ファンならではの視点での良質なフィードバックが受けられることがあります。ただし、顧客の声を聞いて商品・サービスに活かすこと自体は珍しい取り組みではありません。アンバサダーマーケティングではそこから一歩進んだ、商品・サービスを創り上げていく「共創」の視点が重要です。

ネスレ日本が実施した「ネスカフェアンバサダー」の取り組みは、共創マーケティングの好事例として有名です。ネスレ日本ではオフィスで働く人の中からアンバサダーを募集し、任命されたアンバサダーのいるオフィスにコーヒーマシンを無償提供しました。アンバサダーはネスカフェの社内普及の役割を担うとともに、ネスレ日本との定期的なミーティングを通じてサービス向上のための意見出しなども行いました。

ネスカフェアンバサダーの例からもわかる通り、共創においてポイントとなるのは「一緒に商品やサービスをつくり上げる仲間」という立ち位置を大切にすることです。企業からの一方的な意見の吸い上げでも、単なる顧客からの要望機会とするのでもなく、あくまでアンバサダーと二人三脚で商品をつくりあげていくという視点が、共創においては重要となります。

共創は、アンバサダーと企業がより深い関係を築くことにつながります。また共創によって創り上げた商品・サービスは、一層ファンの心に響く魅力的なものになるでしょう。共創したものに対してアンバサダーからのフィードバックをもらうことで、さらなる磨き上げをすることもできます。

このように、アンバサダーとのコミュニケーションを深化させていくことで、アンバサダーの役割を情報発信にとどめず、サービス開発や販促活動にまで活かしていくことが可能となるのです。

まとめ

自社の商品・ブランドに対して熱い思いを持つファンの力を活かしたアンバサダーマーケティング。しかしその熱量を正しい方向に向かわせるためには、「アンバサダー」の役割の理解が必要です。実際に、アンバサダーを謳ってはいるものの、インフルエンサーマーケティングと変わらない投稿もよく見受けられます。

またあまりに複数のアンバサダーを登用してしまうと、アンバサダー投稿が乱立し、結局ユーザーの嫌悪感を誘発してしまうこともあります。アンバサダーマーケティングを実施する場合は、企業としての「アンバサダー」はどういう存在なのか、予めきちんと定義しておくと良いでしょう。

次回は、「ファン目線」により特化したコンテンツを活用したUGCについて解説します。

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